075384 ランダム
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ひなたぼっこルーム

アビシャーとの恋物語

前兆

私の仕事は(一応そんなこともしている。)健康食品店のレジ係りのパートのおばちゃんだ。けっこう金持ちらしき人たちが集まる場所なので商売は繁盛しているらしい。

制服などないので、Tシャツとジーンズで全然かまわない。私はAvalancheのプレイオフが始まるとまず、AvalancheのTシャツしか着ない。(試合のある日はジャージーを着る。)

今日も昨日は負けてしまったけれど、‘それでもメゲないファン’と自分に言い聞かしてAvalancheのTシャツ、ネックレス、ペットボトルには大きく‘The Avs Girl’とステッカーも貼って仕事を始める。

仕事場の人はみんな私が大のファンだということを知っているので昨日のゲームに同情してくれた。しかも、明日のゲームのチケット、どういう訳だか、手にする事ができ、大騒ぎだったのだ。

順調に仕事をしていると、ごく普通の格好をした青年が‘Hello’と私のレジに来た。
私もあいさつを交わして、ふと彼の顔を見上げると....いやいや、まさか、そんなことはないだろう...いや、まてよ、このまゆげ、絶対似てるなあ、...いやいや、こっ、こっ、これは本人じゃないかああっっっ!!!!

そうなのだっ!Avalancheのサードラインの選手、‘Steve Reinprecht’(ステイブ レインプレックト)ご本人っっっ!!!!!!!

もう、自分で自分の顔が真っ赤っ赤なのもわかるくらい、真っ赤っ赤になってしまい、声も上ずる、手も震える、しかも、しかも、誰もがすぐわかるくらいのAvalanche武装(?)。

レジにいる間、彼はずっと微笑んでいた。きっと(もちろん)私がAvalancheのファンだという事を見抜いて、実は私も彼が誰なのかを知っている、ということもわかってたんだと思う。
‘うわあ、こりゃまずい相手につかまったかな?何言われるんだろう?’とかなんとか思ってたのかもしれない。

そんな中、もう一人の私がひじをこつきながらささやいている。‘ほら、これあんたの大好きな選手なんでしょ、なんとかいいなよ。’

そうだ、そうなんだっ、‘明日はゲームに行くからがんばってね’、とっても簡単じゃないか、言わなきゃ、言わなきゃ、早く言わなきゃ....

........(汗).........

また何も言えなかった...(爆涙)....

去年だったか、今はもうトレードされてしまったけれど、Stephen Yelle(ステファンイェール)が私のレジに来てくれた時だって、もう、頭真っ白状態で何も言えなかったんだ。。。

今回はプレイオフだし、Tシャツも来てるし、ペットボトルもステッカー貼ってるし、なんとでも言えたはずなのに。。。。

しかも、周りの人間が聞きたくないのも承知で毎日のようにAvalancheの話ばっかりしてるのに、いざ、ご本人を目にすると、どうして、気の効いた一言、二言いえなくなるのっ!?

自分のこの根性(?)の無さ、勇気(?)の無さにことごとく呆れ返ってしまうっ!!!

後で職場のみんなに言いふらす事しかできなかった惨めな私。。。。。。いいもんっ、明日のゲームで大声で叫んでやるもんっ!くすん...



また来たあっ!!!!!

来ちゃったのだっ!今回また、来ちゃったのだっ!私のレジに、今回はなんと、Avalancheの選手の、David Aebischer(デビットアビシャー)があああっっっ!!!!!

休憩から戻って、さ、またレジオープンしなきゃな、と、オープン印にして、‘こっちのレジ、開いてますよお’と気軽に言ってしまったら、チンクシャの親父の後に美しいほっそりとした、まだ子供っぽさを残したような、青年が立っていた。

えーっ!えーっ!えーっ!えーっ!ああああっ!!

Aebischerだあっ!どうしよう、どきどきどきどき。。。。。

チンクシャの親父の清算中に考える事は‘どうしよう、Aebischerだ、Aebischerだ。。。。’まったく、自分の顔がりんごのごとく赤くなり、手も震え出してきた。

と、その時。。。。。

もう一人の私が立ち上がったのだっ!

‘この間もこんな事があって、一言も何も言えなかったじゃない、どうするの!?今回は!?もしかすると、来年のスタートゴールテンダーかもしれないのよっ!パトリックの後を継ごうとする選手なのよっ!’

臆病の私が汗をかきながら、‘そ、そうだよね、そうだよね、な、何か言わなきゃね、何か言わなきゃ。。。。’

と、ここまでは先日と同じだったのだ。

と.こ.ろ.が.

そのチンクシャ親父が去り、ついにAebischerの番がやってきた。

私はもう一度しっかりと顔を見て、決心がついたのだった。

‘何か、言わなきゃ。。。。’

まずは挨拶。ハロー、ハウアーユー?よし、言えたぞ。向こうも微笑しながら返事を返してきた。このスイスなまりがいっそうかわいさを引き立てる。。。。

ちょっと一息、深呼吸してからもう一人の私が臆病者の私の背中をドンッと突き放した。

‘今年のAvalancheはどうしちゃったんですか?’

心の中で私は踊り狂ってた。‘言ったああっ!何か一言言ったぞっ!’

彼は最初、‘え!?’と少し面食らった顔で私を眺め(そりゃあ、そうでしょう、アジア人の、中年の、グロッサリーのレジのおばちゃんにいきなりそんなこと、聞かれると。。。。)

彼はすばやくその後、‘運がついてなかったんだよね。。。’とそれでも優しく答えてくれた。

そこで、‘ねえ、パトリックは来年、またプレイするの?どうなの?’と聞いてみた。さすがに口の固い事で有名なAvalancheの選手らしく、‘そんなの知らないよお’と一蹴されてしまった。

あ、ちょっと楽しくなってきたぞ。じゃあ、もうちょっと。。。。

‘じゃ、あなたがスターターになるの?’
彼はうれしそうに、‘そうならいいなあ。。。’そうそう、そうこなくっちゃね。

‘スターターになったら、あなたがきっと、スタンレーカップを、私に持ってかえって来るのよね?ね?’

そこで、友達が‘この子はね、本当に心からAvalancheを愛してるのよ。’と少し説明してくれた。それを聞いて安心したのか(?)彼はいたって優しく‘そう、それはよいことだ。そうだね、スタンレーカップ、持ってかえるよ。’

だから、言いました。

‘約束してくれるの?’

そしたら、彼、私の目をまっすぐ見ながら‘約束、するよ。’

!!!!!@@@@@##$%%^^&**

もう、うれしくて、うれしくて、うれしくて。

その後もしばらくしゃべって、彼は‘試合には来たことあるの?’と、聞いてくれ、‘もうね、できる限りね、おこずかい、貯めてね。’と答えました。

‘練習はしてるの?’と聞くと彼はうれしそうに、‘うん、実はもう始まってるんだよ。’と答えました。

最後にやっと、‘The Avs Girlといいます。これからも、よろしくね。’と自分の紹介までしました。彼はほんとにひとなつこさそうな笑顔で、‘こちらこそ、応援してくれてありがとう、よろしくね。’とさわやかに言ってくれました。

帰り際、‘絶対、約束よ。’と私が冗談半分で言うと、‘約束さ’と笑って去っていったのでした。。。。。

うわあああっ!大快挙っ!xx!!^^!!*!@#$%

その後すぐにレジを閉め、だんなに直行で電話したのでした。だんなはまるで、やっきになってる子供の相手をするかのように、‘よかったねえ’を繰り返し、私は同じ事を何度も、何度も、何度もだんなに言い続けていたのでした。。。。



正夢。

2日前、大好きなホッケー選手、デビットアビシャー君の夢を見た。その何日か前ついに夢のジャクジが我が家の裏庭に設置されたこともあって、どうも夢の中ではお風呂とアビシャー君が中心だったようだ。おぼろげであまりきちんと覚えていないのだけれど、夢の中でもアビシャー君は照れ屋のかわいい子だった。

昨日、相変わらずいつものように嫌々仕事に行った。私の働く健康食品店は‘10品以内でお急ぎのお客様用’としてエクスプレスのレジと普通のベルトコンべアーのレジがある。たいていそこで働く人はこの‘エクスプレス’が大嫌いだ。あまりにも忙しいし、お客様はみんな‘エクスプレス’だから‘早く、早く、’とイライラしているし、10品以上持って来る客なんてしょっちゅうで断るとゴジラのように(火がついたように)怒鳴られるし、特に日曜の忙しさなんて野球場の切符売りの姉ちゃん達よりも忙しいと思うくらいだ。

私ももれずに‘エクスプレス嫌い’社員だが、昨日の朝、いつものようにスーパバイザーがエクスプレス嫌いな私を普通のレジに、同時に来たEさんをエクスプレスに行かせた。
Eさんはおとなしくて、あまり自己主張ができない、ちょっと鬱もあるようなおばちゃんでいつも‘エクスプレス嫌い’派と一緒になるとすぐ彼女はエクスプレスへ行かされる。‘いいのよぉ、私はぁ’と言うのでみんなあまり何も言わなかった。(言うと損だものね。)
だけどEさんだってエクスプレスが大好きなわけじゃない、ただ何も言えずに仕方なくそのレジに行くんだ、とずっと申し訳ないのと自分の身勝手を感じていて、つい、昨日、何を思ったのか、自分でもよくわからないのだけれど‘じゃあ、午前は私、普通のレジで午後は交代しようよ。’と持ち出した。彼女は‘え?’と言うような顔をし、スーパバイザーもきょとんとしていた。‘ね、そうしよう、誰もエクスプレスで一日中働きたくないもんね。’と言うとEさんはとってもうれしそうな顔をして一言‘ありがとう’と言った。

午前中は両方のレジがまぁまぁの忙しさで午後、休憩が終わってEさんとレジを交代して私がエクスプレスになったとたん、ものすごい勢いで忙しくなって‘あああああ、やっぱりエクスプレスは嫌いだぁ。。。。’と心中思いながら仕事をこなしていた。
我慢し続けたお手洗いへ行く事がやっとでき、再びレジを開け、なにげなく一人のお客様の持ってるバスケットを私のレジに運びエスコートしながら‘こちらも開いてますよ’と声をかけた。(そうしないと我も我もと押し寄せ、嘘と思われるかもしれないが大の大人が自分が先だとケンカになり、他の州では殺傷事件にまで及んだケースがあるのだ。。。。)

で、バスケットを私のレジの前に置いて、‘ハロー、ハウズ ゴーイング?’とちょっとカジュアルに声をかけたら。。。。。
なんと。。。。。。。
そのお客様は。。。。。
我が愛するデビットアビシャーご本人っ!!!
ぎゃあああああっ!!!!!!!!!!!
アタフタドギマギ、思いっきりまっ赤っ赤。
エ、エスコートしたのが、スターターゴーリー、デビットアビシャーっ!!!!!!
舞い上がってしまった私はしばらく息を整えるのが精いっぱいだった。
‘ほらほら、これ、あんたが夢にまで見た選手でしょ、なんか、いいなよ。’もう一人の私がまたひじで私をこつきはじめた。
‘この間もしゃべることができるんだから、今日もできるよっ!’
背中を押されたかのように私もがんばった。
‘興奮しちゃうね、スターターになっちゃったものね。’
。。。。よし、言った。言ったぞ。。。。。
ところが周りがあまりにもうるさくて彼の耳には届いていなかった。。。。(涙。)
あ、もうだめだ。。。とたんに弱気になった私に彼は‘え?なぁに?なんだって?’となんと聞き直してくれたのだぁぁぁぁぁっ!!!
だからがんばって言い直しました。‘スターターになったんだもの、すごいよね、おめでとう。’
彼はとってもうれしそうに‘ありがとう。うん、がんばらなくちゃ。’
私もうれしくなって‘もうすぐ練習が始まるね。楽しみだわ。’と聞くと
‘見においでよ。’
と言いました。きゃぁぁぁぁっ!!!
だから言いました。
‘もうね、練習試合のチケット、買ってあるから、私は準備オーケー。あなたは?’
‘練習をこんなにエキサイトして待ってるのは始めてだよ。’と笑いました。
‘がんばってね、応援してるから。’
‘ありがとう。またね。’
と彼はさわやかにまた去って行ってしまったのでした。

その後あんなに嫌がっていたエキスプレスがそんなに悪くない、なんて思いながら仕事ができたのはきっと彼の控えめで、優しい応対とあのほっそりとした美しいお顔のおかげ。。。
それにしてもホッケー選手ってほんとにスレていない人が多いように思うのはどうしてだろう。。。。まぁ、純粋無垢とはいえないだろうけど、アバランチの選手に関してはみんな普通に生活しているような匂いがある。バスケット選手やフットボール選手のあのキンキンギラギラの首飾りや指輪もないし、着ている服もTシャツとジーンズだし、確かに毛皮を着てインタビューに答えるような選手はまずいないなぁ。。。。

昔、ホッケーはブルーカラーなゲーム、と言われていた。一番給料が安くて体を酷使することで知られていた。
今でこそホッケー選手も‘ふざけるなぁっ!’と言いたくなるくらいの給料をもらえるようになったけれど、伝統は給料の量ではなくなにかもっと‘ホッケー選手なるものかくあるべき’みたいなものが根強く残っているような気がする。
アビシャー君もスターターになっても忘れないで今のまま、素直な優しい人でいてほしいなぁ。。。


レギュラーシーズン開始っ!!!

なぁんで今日までこの事を書かなかったんだろう。。。なんだか、乗り遅れ(何に?)てしまった気分。でもね、先週の金曜日、そうです。やっとです。長かったです。今年の夏は。我がアバランチ、レギュラーシーズンオープニングゲームだぁいっ!!!

前日はもう、そわそわしちゃって、チケットマスターでシングルチケットを取るのに手間取ってしまった。。。というのも、だんなは金曜日と言えば彼の働くバーが一番忙しい日。そんな日に休むことはできない、と言われていたので一人で見に行くことになったのだけれど、そうなると、やっぱりいい席で見たい。(だんなは席さえ取れればどこでもいい主義。)ちょっとうしろめたさは感じたけれど(疑わしいなぁ。。。)ここはやっぱり、我がアビシャー君の初舞台、カリヤとセラーニ、サキックのスピード違反ライン、めでたく一年契約してくれたピーター、ヘジュック、タンゲイライン、そして9年連続デビジョンタイトル獲得したのを祝う式もあるのでこれはやっぱりしっかり見届けようと、こっそりだんなには内緒でいい席を確保することにした。(内緒よ、内緒っ!)
そうしたら、なんと、アビシャー君のゴール寄りの右側前から8列目、という凄い席が取れてしまった。。。。(でもお値段も凄かったよぅ。。。爆涙)‘こりゃぁテレビに写っちゃう可能性がかなりあるなぁ。。。’なんて不安に駆られながらも‘バレたらバレた時の事。’と開き直ってウォーミングアップをし始めた我がアバランチを観察。

うううう。。。。待ってましたよ、本当に。長すぎたよ、今年の夏は。久しぶりに聞くスケートがアイスを駆け抜ける音、パックがガラスに当たる音、そしてアビシャー君がパックを止めるたび聞こえるパッドの音。今年の夏はトレーニングも見に行ったのにやっぱりこうしてレギュラーシーズンが始まると選手達もエキサイトしているのが手に取るようにわかる。

ただ。。。。やっぱりちがう。。。。アビシャー君とは個人的にも少しだけお話したけれど、パトリックの存在は大きかった。。。試合を見に行くたびいつも彼を一番最初に見ていた自分にも気が付いた。パトリックの声もけっこう大きい方で怒ったりなんかすると、すぐ‘F@#&K!!’なんて聞こえたりしたもんだ。首をいつもひねる癖もあの堂々としたリーダーぶりも大好きだった。これはとても小さいことなんだけれど、縁起をかつぐ彼はアイス上にある2本のブルーラインを決してスケートせず、いつだってひょこっとまたいでいた。私はそれを見るたび微笑ましく思ったもんだ。18歳からプロのホッケー選手として大活躍し、大口もたたき、スタンレーカップも何度も手にした彼が、ブルーラインを、縁起をかつぐ、というだけでまたいでいる姿がなんだかとても新鮮だった。
その彼の姿がどこにもなく、妙に静かに思えてしまった。

でも!これからはアビシャー君がスターター。ついに夢がかなった彼のこれからを応援してあげよう、がんばって3年もの間、パトリックのバックアップとしていろんな事を学んだんだもの、きっと、我がアバランチを引っ張って行く事ができると思う。誰にだって‘一日目’は緊張するし、失敗だってするんだもの、気長に見てあげよう。。。。。

そんなことをぼんやり考えながら、デビジョン王記念バナーがペプシセンターに飾られるのを見ていた。ジョーも、フットも、ピーターも、それを眺めながら、何を思っていたのかな、と思った。

さてさて、試合は始まり、カリヤのすっごいシュートでまずは1点。その1分50秒だったか後に我がキャプテン、ジョーサキックが糸も簡単そうにスコア。まぁ、相手がシカゴブラックホークだからそう思うのか、どう考えたってアバランチのオフェンスは圧倒的だ。。。。

セカンドピリオドではロブブレイク、ヘジュックがスコアしてくれて、4ー0と楽々リード。その間にもアビシャーは‘ちょっとがんばりすぎ?’と思えるくらいセーブをしたりパックハンドリングをしていた。

サードピリオドではヘジュックがまたもやスコアした後、ヤケ(?)になってきたシカゴの選手がちょっと攻撃的かつ、乱暴になってきた。アビシャー君のお仕事も1、2ピリオドに比べ忙しくなってきた。シカゴのオフェンス選手とアバランチのディフェンス選手で混み合ったゴールクリースでセーブを決めたアビシャー君はしっかりとグラブに握ったパックをみんなに見えるようにかざしたっ!それはあの、パトリックの自信に満ちたセーブの仕方とうりふたつだった。

そして、残り時間わずか、4分前後だっただろうか、シカゴはどんどんムキ(?)になり、なんとかスコアしようとしていた時、何を思ったか、我がアビシャー君はシカゴ選手相手にボディチェック!(ぶつかって行って相手の攻撃を阻止すること。これは主にディフェンスの仕事。)ああああっ!アビーッ(彼のあだ名。)、なにやってんのっ!?ゴールが空っぽになっちゃう、あああっ、しかも、今度は別のシカゴの選手とからまってしまい、このままだとシャットアウトができないかもっ!!!
と、こ、ろ、がっ!!!見事に体制を整えたアビーは無事ゴールを守ってくれたのだった。私の心臓はバクバク鳴り続けていたのにどこからか、‘A-B-B-Y!! A-B-B-Y!!’と拍手と共に声援が聞こえ、それはあっと言う間にペプシセンター全部に響き渡るような大声援となり、試合が続けられているにもかかわらずA-B-B-Yコールは鳴り止まなかった。いきなりプレイオフムードに包まれたような気がした。

よかった。私だけじゃなかった。パトリックという、凄い存在の後を引き継ぐのがどれだけ大変かということを、理解しているファンがこれだけたくさんいてたんだ。いい試合さえしていれば、いつも全身全力で試合に立ち向かえば、観客はわかってくれるんだ。

試合の終わるブザーが鳴った。観客は大喝采を選手に向けた。5ー0のシャットアウト。オープニングにはふさわし過ぎるくらいエキサイティングで、楽しいゲームだった。

我がスターターゴールテンダー、デビットアビシャーはクルッとアイスをスケートし、鳴り止まないA-B-B-Yコールに感謝する意でスティックを掲げあげロッカールームへと去って行った。

10月10日2003年、夢を抱き続けた少年が一歩踏み出した日。新しい歴史が始まった。




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